式辞

桜咲くこの美しい季節に、新しく生まれ変わった、延岡看護専門学校看護学科にようこそ、ご入学おめでとうございます。皆さんが新たな歴史を築いていく一回生となります。私も校長を今年度より拝命し、皆さんと同じく一年目を一緒に歩んでいけることに、責任と喜びを感じています。また、この日を迎えられたご家族の皆様にも心よりお祝いを申し上げます。

本校は、一九五二年に延岡市医師会が、准看護婦を養成する「延岡准看護婦養成所」を開設したことから始まり、七二年目に医師会立では県内初となる全日制の看護学科を創設することになりました。その目的は、皆さんが生まれ育った地元で、看護師になるための勉強をし、資格を取り、その能力を伸ばした上で、地元の医療を守るために大いに活躍して頂きたいからです。現在の医療は、チーム医療で多職種のスタッフが力を合わせ患者を守るためにそれぞれの役割を分担しながら立ち向かいます。その中で、看護師の役割は広く、患者に最も身近な業務を担います。看護の字を思い浮かべて下さい。手と目で患者を護る、そう看護師になった時、皆さんの手と目が自分の武器になります。繊細で洞察力の鋭い感覚を培うには、知識と技術の裏打ちが必要で、皆さんにそれを期待しています。そのために、優秀な学生さんが多く集う学校としたかったのです。皆さん、延岡看護専門学校を選んで頂いて、本当にありがとうございます。

一回生は三六名になりますが、高校新卒の入学生、准看護学校を卒業し地元での看護師取得を目指し看護学科に入りなおした方、社会生活を経験した上で看護師を目指し入学した方など、年齢・背景の違う学生が仲間となります。これからは、看護師の資格を取るための勉強で、他の学生との順伝争いではありません。膨大な知識を覚えていかなければならず、自己の成長との戦いとなります。頑張ってもうまくできなかったり、悩んだりすることもあると思います。是非、三年間一緒に過ごす仲間と情報を共有し、お互い助け合い、励ましあって、補完しながら勉学に励んで下さい。

また、社会との繋がりを広げ大切にし、友人同士のきずなを深め楽しんでください。仲間が一生の財産となることを願っています。

超高齢社会が到来し、人々の健康を護る看護の役割はますます重要となり、病院、クリニックの他、訪向看護、介護施設の看護、助産師、保健師、災害支援と活躍の場も拡大しています。皆さんが活曜できるよう、三年間での国家資格取得を目指し教職員総力を挙げて応援していきます。また本日は、放送大学センター所長 石川様にご臨席頂きました。三年間の勉強に加え、一年看護師として従事しながら勉強を継続し単位を取り、大学卒業資格も取得できる体制を整えて頂きました。ご指導よろしくお願いいたします。

延岡市、日向市、西臼井の医師会会員の医療施設からの奨学金制度を本年から創設しております。また、ご多忙な中、読谷山市長にお越し頂いていますが、延岡市から看護師等人村確保支援強化事業として就職支援金を創設して頂きました。感謝申し上げます。これらの制度は、皆さんが地元で活躍することが県北の医療を守ることに直結する大切な人材・力となることへの期待の現れです。医師会も行政も皆さんの支援者であることを自覚し勉学に励んでください。延岡看護専門学校は、現在までに累計 准看護師四二〇三名、看護師一六四二名の卒業生を輩出し、県内定着率も八十%以上と県北の地域医療に多大なる実績を残しています。その先輩看護師が、コロナ禍を経験し疲弊しながらも大いに活躍しています。第五類に移行した現在も、感染は持続しエンデミック状態の中、懸命に患者を守るために戦っています。看護はやりがいもあります。感謝も受けます。しかし命を預かる責任の重い仕事です。皆さんは、エッセンシャルワーカーと呼ばれる絶対に必要な看護の道を選択し、スタートラインに立ちました。これから看護の勉強・実習に取り組みながら、自らの価値観をよりしっかり形作り、それぞれの理想の看護師像を描いていってください。

目を輝かせている若い皆さんを見ながら、無限の可能性を秘めた、二年後、三年後の成長を期待してやみません。地域医療を守るために、将来一緒に働けることを楽しみにしています。これから、有意義な学生生活を送られることを祈念して式辞といたします。

令和6年4月5日

延岡看護専門学校 校長 金井 一男