延岡市医師会病院 院内感染対策指針

 この指針は、医療関連感染の予防・再発防止対策および集団感染事例発生時の適切な対応など、延岡市医師会病院(以下「当院」という)における院内感染対策体制を確立し、患者様及び家族の皆様に適切かつ安全で質の高い医療サービスの提供と職員の安全の確保を目的に、下記に掲げる基本的事項を実践する。

1.院内感染対策に関する基本的考え方

当院では、院内感染の防止に留意し、感染症発生の際にはその原因の速やかな特定、制圧、終息に努める。近年の医療機関における院内感染の多発化傾向については、単にマニュアル作成のみではその対筋が不十分であり、すべての職員が感染予防策の必要性を認識し選守することが院内感染予防の最も有効な手段であると考える。当院では、この院内感染対策を、医療を安全に行う上での最優先事項と位置付け、職員の一人一人のマニュアル遵守の徹底及び日常の診療における感染予防の実践に邁進する。

2.院内感染対策のための委員会及びその他の組織に関する基本的事項

◆院内感染対策委員会
当院における院内感染対策に関する意思決定機関として、病院長を委員長とする「院内感染対策委員会」を設置し、毎月1回(毎月第3木曜)の定例会議を開催し、院内感染防止対策の策定及び推進をおこなう。尚、アウトブレイク時や耐性菌の出現時などの緊急時には臨時的に開催する

◆院内感染制御対策チーム(Infection control team)(以下ICTという)
院内感染に関する実践的な活動を行うために、「院内感染制御対策チーム(ICT)Jを設置し、週1回程度の定期的な院内ラウンド(毎週金曜日)による、院内感染事例の把握、院内感染防止対策の実施状況の把握指導をおこなう。また、院内感染事例、院内感染の発生率に関するサーベイランス等の情報を分析、評価し、効率的な感染対策に役立てる院内感染の増加が確認された場合には病棟ラウンドの所見及びサーベイランスデータ等を基に改善策を講じる。

◆院内環境ラウンドチーム
医療現場での感染症予防及び防止のため、「院内環境ラウンドチーム」を設置し、毎月1回の院内ラウンドにより感染防止の観点から環境改善を図る。

※尚、感染管理は医療安全対策の一部との考えから、必要に応じて医療安全管理委員会と連携する

3.院内感染対策のための従事者に対する研修に関する基本方針

(1)病院感染管理の基本的な考え方及び標準予防策、感染経路予防策、職員感染対策をはじめとする病院感染防止の具体策を全職員に周知徹底し、職員一人一人の病院感染対策に対する意識と技能の向上を図ることを目的に、全職員及び委託業者等を対象に、年2回の研修会を定期的に開催する尚、最新の情報、知見を取り入れた研修にすることに努める。

(2)研修の実施内容(開催日時、出席者、研修項目等)を記録・保存する。

(3)新採用職員に対する研修は、採用時に病院感染管理の基礎に関する研修をおこなう。

(4)院内感染対策遵守のための指導として、感染対策上の問題の指摘された病棟、診察区域に対する重点的な指導、監視職員の教育、啓蒙、勉強会を年2回おこなう。

(5)院内感染マニュアルは各部署に設置し、改訂の際にはその旨を職員へ周知し、必要に応じて改訂内容の周知のための研修会を開催する。

4.感染症の発生状況の報告に関する基本方針

(1)院内感染事例や法令に定められた感染症の届出及び院内での耐性菌動向サーベイランスをおない、必要に応じて院内感染対策委員会及びICTへ報告、検討、職員へのフィードバックを行う。

(2)毎週1回(毎週月曜)開催される「院内カンファレンス」において、「感染情報レポート」として作成された細菌培養結果等の情報の共有をおこない、耐性菌やアウトフレイクの発生状況を確認する。

(3)薬剤師から毎月の抗生剤使用状況について報告をおこなう。

(4)院内にとどまらず、院外の感染症の発生状況に関しても情報収集をおこない、院内感染対策に役立てる。

5.院内感染発生時の対应に関する基本方針

(1)院内感染発生時は、発生を確認した各部署の師長・リーダーが直ちに院内感染対策委員長及びICTへ報告をおこなう。ICTは、当該部署と協力して感染マニュアルに基づき速やかな対策を講じるとともに原因追求をおこなう。また、院内各部署への情報提供をおこない、感染拡の制御に努める。

(2)感染症法により届け出対象のものは、主治医が保健所へ届出を行おこなう。師長•リーダーは関係部署への報告をおこなう。

(3)緊急に検討が必要な場合は臨時委員会を招集する。

6.患者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針

この指針は、患者様及び家族の感染対策への理解と協力を得るため、当院ホームページに掲載し公開する。また、患者様及び家族から閲覧を求められた場合はこれに応じる。

7.その他の院内感染防止対策の推進のために必要な基本方針

(1)院内感染対策指針に即した院内感染対策マニュアルを整備し、定期的な見直しを行い院内感染対策の推進を図る。

(2)職員は感染対策マニュアルに沿って、手洗いの徹底、マスク着用の励行なと常に感染予防の遵守に努める。

(3)職員は、自ら院内感染源とならないよう、健康管理に留意するとともに、ワクチン接種によって感染が予防できる疾患については、適切にワクチン接種をおこなう。

(4)職員は、感染対策マニュアルに沿って防護具の使用、リキャップの禁止、職業感染の防止に努める。

(5)院内の抗菌薬の適正使用を監視するため、特定抗菌薬(広域スペクトラムを有する抗菌薬、MRSA薬等)については、その使用を届出又は許可制とし、投与量、投与期間の把握を行い、臨床上問題となると判断した場合は、投与方法等の適正化をはかる.

(6)院内の見やすい場所に、院内感染防止対策に関する取り組み事項を掲示する。

 

この要綱は、平成19年11月30日 策定
平成23年4月1日 改訂
平成26年4月1日 改訂
平成27年6月15日 改訂


延岡市医師会病院 院内感染防止対策の取り組み

 院内感染対策に関する取組事項

  1. 院内感染防止対策に対する基本的な考え方
    関せ院防止策は、安心・安全な医療提供の基盤となりものです。
    当院では、感染防止対策を病院全体として取り組み、病院に関わるすべての人々を対象として院内感染発生の予防と発生時の速やかな対応を行うことに努めています。
     
  2. 院内感染対策のための委員会および当該病院等の組織に関する基本事項
    当院では、感染防止に関する意思決定をするために、院内感染対策委員会を設置し、毎月1回の定例会議を行い、感染対策に関する事項を検討しています。また、院内感染制御対策チーム(ICT)や院内環境ラウンドチームを設置し、感染防止対策の実務を行っています。
     
  3. 院内感染対策のための従業員に対する研修に関する基本方針
    当院では、職員の感性防止対策に対する意識・知識・技術向上を図るため、全職員(委託業者も含む)を対象とした、年2回以上の研修会を行っています。
     
  4. 感染症の発症状況の報告に関する基本方針
    当院では、法令に定められた感染症届出のほか、院内における耐性菌等に関する感染情報レポートを作成し、毎週1回の感染カンファレンスにて報告及び検討を行い、現場へフィードバックを実施しています。
     
  5. 院内感染症発生時の対応に関する基本方針
    当院では、感染症患者が発生又は、疑われる場合は、院内感染制御対策チーム(ICT)が感染対策に速やかに対応いたします。また、必要に応じ、保健所や通常時から協力関係にある医療機関と速やかに連携し対応いたします。
     
  6. 患者様に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
    当院では、本取組事項を院内に掲示し、患者様およびご家族等から閲覧の求めがあった場合はこれに応じます。
     
  7. その他院内感染症対策の推進のために必要な基本方針
    当院では、院内感染症防止対策の推進のため、「院内感染症対策マニュアル」を作成し、職員への周知徹底を図るとともに、マニュアルの見直し、改訂を行っています。
     
  8. 抗菌薬使用適正使用のための方策
    当院では、広域抗菌薬等の使用は届出制としており、薬剤師により抗菌薬の使用方法、使用量、感受性の確認を行っています。また、治療の効果及び副作用について評価を行い適切な抗菌薬使用になるよ努めます。
     
  9. 他の医療機関等との連携体制
    当院では、感染対策の強化、感染症発生時に助言等を受けるため県立延岡病院と連携を行い、情報共有をいたします。

令和4年4月1日 改訂


延岡市医師会病院 院内感染対策委員会